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若杉山 延命寺

(わかすぎさん えんめいじ)

歴史と信仰が息づく禅寺

延命寺は、岡山県高梁市に位置する曹洞宗の寺院で、その歴史は長く、地域の人々から篤く信仰されています。この寺院は、重要伝統的建造物群保存地区「吹屋」の麓にある「下谷」地区にあり、静かな自然の中で禅の修行と信仰が行われてきました。

若杉山延命寺の創建と本尊

延命寺の創建は永正2年(1505年)に遡り、その山号は「若杉山」と称されます。本尊として祀られているのは十一面観世音菩薩で、この観音像は、吉岡銅山や弁柄製造で財を成した吹屋の豪商たちから厚い信仰を集めました。地域の繁栄と密接に関わりながら、延命寺は長年にわたり地元住民の心の拠り所となってきました。

尼子氏との深いゆかり

延命寺は、戦国時代の永禄年間(1558~1569年)に出雲の大名・尼子氏との関わりを持つ寺院としても知られています。尼子氏は銅山を支配しており、この縁から延命寺の山門には尼子氏と同様の家紋「平四ツ目結」が施された鬼瓦が用いられています。この鬼瓦は、尼子氏との歴史的なつながりを象徴するものであり、訪れる人々にその時代の面影を伝えています。

吉田兼久の位牌が安置された寺院

さらに、延命寺には、戦国時代に尼子氏が築いた黄金山城(吹屋下谷)に在城した武将・吉田兼久の位牌が安置されています。吉田兼久は、当時の吹屋地域を治めた重要な人物であり、その位牌が延命寺に祀られていることからも、寺院が地域の歴史と深く結びついていることがわかります。

延命寺の精進料理:永平寺で修得した味わい

延命寺の現住職は、曹洞宗大本山永平寺で修得した本格的な精進料理を提供しています。この精進料理は、訪れる人々に人気があり、延命寺を訪れるもう一つの楽しみとして親しまれています。禅の教えに基づく精進料理は、素材の味を生かしつつ、身体にも優しい料理であり、心身を清めるひとときを提供してくれます。

地域との関わりと未来への継承

延命寺は、歴史的建造物群保存地区「吹屋」の一部として、地域の歴史と文化を今に伝える重要な存在です。寺院の建物や文化は、大切に保存され、次世代へと受け継がれています。地域の行事や観光とも連携しながら、延命寺はこれからも多くの人々に信仰の場として親しまれていくことでしょう。

延命寺は、その長い歴史と深い信仰の伝統を持ちながら、訪れる人々に禅の心を伝え、地域社会とのつながりを大切にし続ける寺院です。延命寺の静かな境内で、心を落ち着けるひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。

Information

名称
若杉山 延命寺
(わかすぎさん えんめいじ)

津山・美作

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