備中国総社宮は、岡山県総社市に鎮座する神社で、旧社格は県社です。正式名称は「總社」であり、古代の国府の近くに位置する「総社」として、多くの神々を一つに祀る役割を果たしています。
「総社」とは、各国の神社を巡拝する慣習を効率化するために、平安時代末期に国府の近くに設けられた神社です。備中国の総社宮は、備中国内の324社の神々を合祀しており、一度のお参りでこれらすべての神々に祈ることができるとされています。この神社は、平安時代後期に造られ、市名の由来ともなっています。
御正殿(本殿)は平成21年12月末に、拝殿は平成27年4月29日に再建され、全国で唯一の平安時代様式を再現しています。前庭には古式の三島式庭園があり、その美しい回廊は後楽園の造園時に参考にされたとされています。現在、境内全体が総社市指定史跡に指定されています。
主祭神:
相殿神:
当地には、総社が設立される以前、仁徳天皇の皇妃・八田皇女の名代として八田部が設けられたとされています。その後、御友別の子孫がこの地に移住し、国造となり、野俣神社(現・沼田神社)を建てて、周辺一帯を総社としました。大化の改新以降、この地に備中国総社が創建されました。平安時代中期には『延喜式神名帳』に「備中国賀夜郡 野俣神社」の記載があり、沼田神社はその論社とされています。
室町時代には戦火により社殿が焼失し、1429年に再建されましたが、天正年間(1573年-1592年)に再び焼失し、1687年に再建されました。明治5年(1872年)には県社に列しました。
主祭神の大己貴命(大国主命)は、「因幡の白兎」の神話で有名な神様で、医薬、医療、再生復活のご神徳が賜れるとされています。また、商売繁盛や縁結びの神としても崇敬されています。
須勢理毘売命は、大己貴命を厄災から救ったことから、厄災消除のご神徳があり、夫婦和合、家内安全、子孫繁栄のご神徳も賜れる神様です。
境内には、円山応挙の「義家観雁図」や大原呑舟の「林和靖図」などの絵画が掲げられています。また、随神門と回廊、後楽園造園の際に参考とされた庭園があり、社殿内外の美しい風景が広がっています。
総社市指定文化財