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旧 矢掛 脇本陣 高草家 住宅

(きゅう やかけ わきほんじん たかくさけ じゅうたく)

旧矢掛脇本陣髙草家住宅は、岡山県小田郡矢掛町に位置し、かつて西国街道矢掛宿の脇本陣として重要な役割を果たした歴史的な建物です。髙草家は、本陣を補佐する脇本陣の役目を担い、金融業で財を成し、庭瀬藩の掛屋や小田郡大庄屋を務めた旧家として知られています。その敷地は約600坪(約2,000㎡)と広大で、矢掛宿では本陣に次ぐ規模を誇ります。

髙草家の歴史と脇本陣の役割

脇本陣の位置と役割

髙草家は、本陣から東に約400メートルの場所に位置し、脇本陣として本陣を補佐する役割を担いました。脇本陣は、参勤交代で江戸と国元を往復する大名や家老などが宿泊や休憩に利用する場所として設けられたものです。特に髙草家は、その堅固な建築様式で知られ、白壁と張瓦のコントラストが美しい建物群が特徴です。

髙草家の敷地と建造物

髙草家の敷地には、主屋をはじめ蔵座敷、内倉、大倉、中倉、門倉など9棟の建物が存在し、それぞれが国の重要文化財に指定されています。これらの建物は、19世紀初頭の状況をよく保ち、当時の脇本陣の屋敷構えの全貌を伝える貴重な遺産となっています。また、髙草家は庄屋役も兼ねており、その影響力は地域社会においても大きなものでした。

明治初期の移築と保存状況

髙草家の表門は明治初期に移築されたものですが、それ以外の建物や敷地は、19世紀初頭に整えられた頃の状況を良好に保っています。これにより、山陽道における脇本陣の全体像を今に伝える貴重な存在として評価されています。

旧矢掛脇本陣髙草家住宅の建築様式

建築の特徴と文化財指定

旧矢掛脇本陣髙草家住宅の建物群は、白壁と張瓦の美しいコントラストが特徴です。敷地内には、内蔵を中心に5つの蔵があり、それぞれに堅固な建築様式が施されています。特に、主屋をはじめとする9棟の建物は、19世紀中頃の天保年間に建てられたものであり、その一部には宝暦14年(1764年)の墨書銘も見られます。これらの建物は、髙草家の歴史的価値を示すものであり、国の重要文化財に指定されています。

敷地と建物の配置

髙草家の敷地は、旧山陽道に面しており、間口14間、約2,000㎡の広さを誇ります。敷地内には、主屋や座敷など9棟の建物があり、その建築年代は主に19世紀中頃に集中しています。主屋は桁行16.2メートル、梁間8.9メートルの規模を持ち、一部は二階建ての入母屋造となっており、本瓦葺きの屋根が特徴です。このように、髙草家は当時の脇本陣の典型的な建築様式を今に伝える重要な遺産です。

矢掛宿と髙草家の成り立ち

矢掛宿の歴史

矢掛宿は、山陽道の宿場町として江戸時代に大いに栄えました。その成立は1600年(慶長5年)の関ケ原の戦いにまで遡ります。戦功により備中の地を治めた小堀新助が、この地域の発展に寄与しました。新助の子である政一(遠州)は、父の遺領を継承し、矢掛村の整備を進めました。

髙草家の役割と影響力

髙草家は、矢掛宿の発展に大きな影響を与えました。1600年代には、髙草家は金融業で財を成し、庭瀬藩の掛屋や小田郡大庄屋を務めるなど、地域社会において重要な役割を果たしました。また、矢掛村の中心集落である「古市」が大火に見舞われた際には、髙草家がその復興に貢献しました。

矢掛宿の発展と髙草家の位置

矢掛宿の発展に伴い、髙草家はその地位を確立し、脇本陣としての役割を果たすようになりました。髙草家の屋敷は、池田氏による宿場町の整備の一環として造られたものであり、矢掛村の発展とともにその重要性が増していきました。

旧矢掛脇本陣髙草家住宅の文化的意義

建築と歴史の保存

旧矢掛脇本陣髙草家住宅は、19世紀初頭の建築様式や当時の生活様式を伝える貴重な遺産です。これらの建物は、髙草家が脇本陣としての役割を果たした時代の姿をよく保っており、国の重要文化財として保護されています。また、この地域の歴史や文化を後世に伝える役割を担っています。

本陣と脇本陣の共存

矢掛町において、旧矢掛本陣石井家と旧矢掛脇本陣髙草家住宅がそれぞれに往時の姿を残し、ともに国の重要文化財に指定されているのは、全国でも非常に珍しい例です。この二つの建物が共存することで、矢掛宿の歴史や文化をより深く理解することができます。

旧矢掛脇本陣髙草家住宅の保存と今後の展望

文化財としての保存活動

現在、旧矢掛脇本陣髙草家住宅は、国の重要文化財として厳重に保護されるとともに、地域の観光資源としても活用されています。髙草家住宅を訪れることで、当時の宿場町の雰囲気や脇本陣の役割について理解を深めることができます。また、これらの遺産は、今後も地域の歴史や文化を後世に伝える重要な役割を果たしていくでしょう。

旧矢掛脇本陣髙草家住宅は、その壮大な敷地と建物群、そして保存された歴史的な遺産を通じて、矢掛町の歴史と文化を今に伝え続けています。訪れる人々にとっては、江戸時代の宿場町の雰囲気を感じることができる貴重な場所であり、地域の誇りとして大切に守られています。

Information

名称
旧 矢掛 脇本陣 高草家 住宅
(きゅう やかけ わきほんじん たかくさけ じゅうたく)

倉敷

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