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笠岡市立カブトガニ博物館

(かさおか しりつ はくぶつかん)

笠岡市立カブトガニ博物館は、岡山県笠岡市にある博物館です。この博物館は、世界で唯一カブトガニをテーマにした施設として知られています。建物のデザインは、上空から見るとカブトガニの形に見えるユニークな構造をしており、その存在感は特異です。

世界で唯一のカブトガニ博物館

笠岡市立カブトガニ博物館は、国指定天然記念物であるカブトガニの繁殖地としても知られる笠岡市の神島水道に面しています。この博物館は、カブトガニの繁殖と展示、さらにはその保護を目的として設立されました。1990年3月に開館し、現在も笠岡市が運営しています。

博物館設立の背景

岡山県南西部の瀬戸内海に面した笠岡市は、古くからカブトガニの生息地として知られていました。しかし、1966年から1989年にかけて行われた笠岡湾の大規模な干拓事業により、生息地が減少し、カブトガニの絶滅が危惧されました。このような背景から、カブトガニの繁殖や展示を目的とした博物館が設立されたのです。

自然保護活動と幼生の放流

博物館では、国指定天然記念物であるカブトガニ繁殖地への幼生の放流を行っています。この活動は、カブトガニの保護と繁殖を支援する重要な取り組みであり、地域の自然環境保全に大きく寄与しています。

展示物と学びの場

館内には、カブトガニに関連するさまざまな展示が行われており、訪れる人々はこれらを通じてカブトガニの生態について深く学ぶことができます。特に目を引くのが、「吠えるバリオニクス実物大模型」や「カブトガニの這い跡化石」、さらには「オウムガイの生体展示」などです。さらに、クイズ形式で楽しめるシアターもあり、家族での訪問にも適した内容となっています。

マスコットキャラクターについて

笠岡市立カブトガニ博物館には、個性的なマスコットキャラクターが存在します。その代表が「カブニくん」です。彼は博物館の象徴的なキャラクターで、1990年の博物館開館と同時に誕生しました。モチーフはカブトガニで、特徴的な甲羅と鋭い尻尾がトレードマークです。

カブ海ちゃんの登場

2009年、博物館のリニューアルと共に「カブ海(み)ちゃん」という新しいキャラクターが加わりました。彼女もカブトガニをモチーフにしており、柔らかい素材でできた甲羅とみつ編みが特徴です。カブトガニのメスがオスよりも体が大きいことにちなみ、カブ海ちゃんも胴体が大きくデザインされています。

カブニくんとカブ海ちゃんの家族

2016年7月4日には、カブニくんとカブ海ちゃんの結婚が発表され、2017年には2人の間に子どもが誕生しました。子どもたちの名前は「カブ希(き)くん」と「カブ望(の)ちゃん」で、それぞれ公募によって選ばれました。カブニくん一家は、博物館の象徴として、多くの来館者に親しまれています。

カブトガニの観察と展示

笠岡市立カブトガニ博物館の魅力の一つは、2億年前からその姿を変えず「生きた化石」と呼ばれるカブトガニを間近で観察できることです。博物館内には、カブトガニを飼育する大型の水槽が設置されており、訪れる人々は成体のカブトガニを直接見ることができます。

生きた化石の展示

博物館では、カブトガニだけでなく、シーラカンスやオウムガイなど、他の「生きた化石」と呼ばれる生物も展示しています。これらの展示を通じて、来館者は古代の生物の神秘と進化の歴史について学ぶことができます。

シーラカンスの紹介

シーラカンスは、古生代のデボン紀に出現した魚類で、7,000万年前に絶滅したと考えられていました。しかし、1938年に南アフリカで生きたシーラカンスが発見され、その後も100個体近くが捕獲されています。シーラカンスは、原始的な形態を保ちながら生き続けていることで、「生きた化石」として知られています。

オウムガイの展示

オウムガイは、古生代のオルドビス紀に出現し、中生代には大いに繁栄しました。しかし、現在ではフィリピンやオーストラリア周辺にわずかに生息するのみです。博物館では、これらの生きた化石を通じて、訪れる人々に自然の偉大さを伝えています。

恐竜公園と恐竜の展示

笠岡市立カブトガニ博物館には、恐竜や古生物に関連する展示も豊富にあります。博物館の2階へと続くスロープは「ダイノスロープ」と呼ばれ、その途中にはさまざまな恐竜の骨格標本が展示されています。このスロープは、恐竜時代を体感できる楽しい展示空間となっています。

ダイノスロープの見どころ

ダイノスロープの入口で訪れる人々を迎えるのは、プレシオサウルスのレプリカです。プレシオサウルスは、中生代の海を泳いでいた海棲爬虫類で、全長は2.7メートルに達します。さらにスロープを進むと、動く・吼えるバリオニクスの模型が展示されており、その迫力ある姿に圧倒されることでしょう。

カマラサウルスの展示

博物館内には、カマラサウルスの巨大な模型も展示されています。カマラサウルスは全長16メートル、推定体重は18トンとされる恐竜で、その姿は圧巻です。カマラサウルスという名前は、「空洞のあるトカゲ」を意味し、背骨の中に中空の小部屋を持つことが特徴です。

生きたカブトガニと触れる展示

展示室内では、幅2.95メートル、奥行き1.04メートル、高さ0.75メートルの大型水槽が設置されており、生きたカブトガニを間近で観察することができます。また、飼育展示室では幼生のカブトガニも展示されており、成長の過程を学ぶことができます。

触れる展示と学習体験

博物館では、展示をただ見るだけでなく、実際に触れることができるコーナーも用意されています。特に「タッチコーナー」では、アンモナイトや三葉虫などの貴重な化石に触れることができ、子どもたちにとって貴重な体験となるでしょう。また、筆を使って砂の中に隠れた化石を掘り出す体験も可能です。

カブトガニのマリオネット

さらに、カブトガニのマリオネットも展示されており、ハンドルを操作することで、カブトガニの脚や尾剣を動かすことができます。この展示は、子どもたちにカブトガニの動きを理解させるのに役立っています。

展望室からの眺め

博物館の展望室は、前面がオープン式になっており、国指定の天然記念物である「カブトガニ繁殖地」を広く見渡すことができます。ここから漂ってくる潮の香りが、いっそう海のイメージを引き立たせ、訪れる人々にリラックスしたひと時を提供します。

恐竜公園

公園と展示物

博物館の周囲には、恐竜や古生物の実物大オブジェが設置された公園が広がっています。ここには、以下のような恐竜の模型があります。

また、滑り台などのアスレチック設備も設けられており、子どもたちに人気のスポットとなっています。

恐竜公園の魅力

博物館に隣接する恐竜公園は、本格的な恐竜公園としては日本国内で初めてのものです。この公園には、ティラノサウルスをはじめとする7種8体の実物大の恐竜が展示されています。公園内は「森林」「砂漠」「海」の3つのゾーンに分かれており、それぞれに恐竜の生態が再現されています。これにより、訪れる人々は恐竜時代にタイムスリップしたかのような体験を楽しむことができます。

砂漠ゾーンの恐竜たち

砂漠ゾーンでは、ティラノサウルスとプロトケラトプスの激しい戦いが描かれています。ティラノサウルスは、その鋭い歯で武装した全長15メートル、推定体重10トンの地上最大の肉食恐竜です。一方、プロトケラトプスは、ゴビ砂漠で発見された白亜紀後期の恐竜で、全長2.4メートル、推定体重180キログラムです。

海ゾーンのエラスモサウルス

海ゾーンには、長い首を持つエラスモサウルスが展示されています。エラスモサウルスは白亜紀後期に栄えた海棲爬虫類で、全長10メートルに達します。彼らは、首を長く伸ばして魚やアンモナイトを捕らえて食べていたと考えられています。

森林ゾーンの恐竜たち

森林ゾーンでは、ディプロドクスやイグアノドン、アパトサウルスが展示されています。これらの恐竜は、現代の森に似た環境で展示されており、草食恐竜が葉をむしりとって食べていた当時の様子を再現しています。特にディプロドクスは、全長27メートル、推定体重10~11トンの巨大な恐竜で、陸上生活と水中生活の両方に適応した体型を持っています。

学術監修を受けた精密な恐竜模型

恐竜公園に展示されている恐竜たちは、東京大学名誉教授の濱田隆士博士をはじめとする専門家によって学術監修を受けて製作されました。そのため、皮膚のシワや筋肉の付き方などが精密に再現されており、科学的にも高い評価を受けています。

アスレチック広場

博物館の敷地内には、カブトガニや恐竜のモチーフが付いた遊具が設置された「アスレチック広場」もあります。子どもたちはここで遊びながら、自然や歴史について学ぶことができます。この広場は、親子連れにとっても魅力的な場所となっています。

Information

名称
笠岡市立カブトガニ博物館
(かさおか しりつ はくぶつかん)

倉敷

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