岡山県 » 倉敷

補陀落山 円通寺

(ふだらくさん えんつうじ)

円通寺は、岡山県倉敷市西部の玉島に位置する曹洞宗の寺院で、山号は補陀落山です。本尊は聖観音菩薩であり、中国三十三観音霊場7番札所、山陽花の寺二十四か寺17番札所、備中国浅口三十三観音霊場一番札所、百八観音霊場第九番札所に指定されています。

円通寺は、白華山にあり、奈良時代に行基によって開創されたと伝えられる曹洞宗の古刹です。この寺院は、良寛など多数の高僧が住山し、修行した場所としても知られています。寺内では御詠歌「ひび一に まるいこころは えんつうじ みちびきたまえ ひとりゆくみち」が唱えられています。

境内と自然の美しさ

円通寺は、小高い丘の上にあり、荘重な伽藍と石組の庭が配置された境内が特徴です。また、隣接する円通寺公園では四季折々の花々が楽しめます。春には約400本のソメイヨシノが咲き乱れ、秋には境内が見事な紅葉に包まれることで、多くの訪問者が訪れます。

良寛茶会と良寛まつり

円通寺では、良寛の遺徳をしのぶ「良寛茶会」が桜の満開の時期に開催されます。この茶会では、同寺本堂などに茶席が設けられ、優美な茶の湯の世界を体感することができます。また、秋には子ども写生大会や茶会、歌と踊りの奉納が行われる「良寛まつり」が開催され、地域の文化を感じることができます。

円通寺の歴史

円通寺の創建年代は定かではありませんが、奈良時代の僧行基によって開かれたと伝えられています。江戸時代に入り、元禄11年(1698年)に徳翁良高禅師によって再興され、円通庵と称されました。その後、正徳年間(1711年~1716年)に現在の寺号となりました。江戸時代後期には、歌人としても知られる僧良寛がこの寺で約12年間修行していました。

寺院の文化財

円通寺は、岡山県指定の史跡に指定されており、境内全体がその名を知られています。また、円通寺公園は岡山県指定名勝であり、公園内にある「童と良寛」像は、平田郷陽による原作が有名です。この像は、熊本県立美術館にオリジナルが収蔵されています。

青銅露座地蔵菩薩坐像

円通寺には、倉敷市指定文化財に指定されている青銅露座地蔵菩薩坐像があり、宝暦8年(1758年)に作られたこの像は、工芸・考古の分野で高く評価されています。

円通寺の建築と名所

山門

円通寺の正門である山門は、威厳ある佇まいを見せ、石碑は開山である徳翁良高大和尚の筆によるものです。山門脇には「不許葷酒入境内」の戒壇石が建立されており、禅寺の戒律を示す重要なシンボルとなっています。

汐見門

円通寺の通用門である汐見門からは、瀬戸内海を一望することができ、「良寛修行の寺」として知られています。この門の石碑は、大本山總持寺の元管主である板橋興宗禅師の筆によるものです。

本堂と伽藍

円通寺の本堂は、屋根寄棟造草葺であり、堂内には禅宗様式の須弥壇が配置され、本尊である星浦観音立像が安置されています。この伽藍は円通寺の中心的な建物であり、訪れる者に深い敬意を抱かせる場となっています。

良寛記念館

かつて大蔵経を収めていた建物を平成10年に修復し、良寛ゆかりの書画を展示する記念館として整備しました。ここでは、良寛の書や絵画を通じてその生涯を偲ぶことができます。

鐘楼と高方丈千畳岩

円通寺の鐘楼は参拝者も打つことができ、行事の時刻を知らせ、僧伽の覚醒を促すために用いられています。さらに、本堂奥にある高方丈千畳岩は、千畳敷きの巨岩の上に建てられた建物であり、ここで良寛が印可を受けたと伝えられています。

円通寺の文化的意義

円通寺は、約1200年の歴史を持ち、行基菩薩によって開創された星浦観音の霊場を発展させた寺院です。この寺は、良寛などの高僧が修行したことで広く知られ、多くの人々に尊敬されています。円通寺公園もまた、四季折々の花々と自然の美しさを楽しむことができる場所として、市民の憩いの場となっています。

円通寺とその周辺地域は、歴史的な遺産と自然の美が融合した文化的なスポットとして、訪れる人々に深い感動と平穏を与え続けています。

Information

名称
補陀落山 円通寺
(ふだらくさん えんつうじ)

倉敷

岡山県