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恐竜公園

(きょうりゅう こうえん)

笠岡市立カブトガニ博物館に隣接する恐竜公園は、恐竜時代にタイムスリップしたような気分を味わえる場所です。この公園は、森林、砂漠、海の3つのゾーンに分かれており、それぞれのゾーンで異なる恐竜たちが展示されています。公園に展示されている恐竜はすべて実物大で、合計7種8体が設置されています。

本格的な恐竜公園の誕生

この恐竜公園は、日本国内では初めての本格的な恐竜公園として知られています。展示されている恐竜は、ヨーロッパからアジアにかけて繁栄した化石カブトガニの時代を象徴しており、同時に当時の地球環境を知るための貴重な資料としても利用されています。

学術監修を受けた精密な恐竜模型

公園内に展示されている恐竜たちは、すべて学術的な監修を受けて製作されました。その監修を担当したのは、東京大学名誉教授の濱田隆士博士を中心に、コロラド大学のロバート・T・バッカー博士、カルフォルニア大学のジョージ・L・キャリソン博士ら3名の専門家たちです。そのため、恐竜たちの皮膚のシワや筋肉の付き方などが非常に精密に再現されており、科学的にも高い評価を受けています。

恐竜の姿勢と体色の再現

恐竜公園で展示されている恐竜たちは、従来の図鑑で見られる復元図とは異なり、よりリアルで躍動感のあるポーズが取られています。これは、高温型変温動物説に基づいて、恐竜が非常に活発に活動していたとされる姿勢で再現されているためです。また、恐竜の体色については、化石には色素が残らないため詳細は不明ですが、現代の哺乳類と比較して再現されています。例えば、ディプロドクスはキリンのような模様、アパトサウルスはアンテロープ、イグアノドンはトムソンガゼルに似た体色に塗られています。

砂漠ゾーンの恐竜たち

砂漠ゾーンは、荒涼とした大地が広がり、ところどころにソテツが生えた景観が特徴です。このゾーンには、ティラノサウルスとプロトケラトプスが展示されています。ティラノサウルスは、その巨大な体と鋭い歯で武装した肉食恐竜であり、全長は15メートル、推定体重は10トンに達します。

プロトケラトプスとの対決

砂漠ゾーンでは、ティラノサウルスがプロトケラトプスと対峙する場面が再現されています。プロトケラトプスはゴビ砂漠で発見された白亜紀後期の恐竜で、全長2.4メートル、推定体重は180キログラムです。このシーンは、まるで中世代の日常的な光景を目の当たりにしているかのようなリアルさがあります。

プテラノドンの監視

また、この対決を見守るように、岩山の上からプテラノドンが監視しています。プテラノドンは、翼を広げたときの大きさが8メートルにも及ぶ巨大な翼竜で、北アメリカやアジア、ヨーロッパの白亜紀後期の地層から発見された種です。

海ゾーンのエラスモサウルス

海ゾーンには、長い首を持つエラスモサウルスが展示されています。エラスモサウルスは白亜紀後期に栄えた海棲爬虫類で、全長10メートルに達します。首を長く伸ばして魚やアンモナイトを捕らえる姿が再現されています。このエラスモサウルスの展示は、まるで当時の海中を覗き込んでいるかのような臨場感があります。

森林ゾーンの恐竜たち

森林ゾーンでは、ディプロドクス、イグアノドン、アパトサウルスが展示されています。このゾーンは、メタセコイアやイチョウ、トクサなどの「生きている化石植物」を中心に植栽された林の中に配置されており、当時の森の環境が再現されています。

ディプロドクスの展示

ディプロドクスは、全長27メートル、推定体重10~11トンに達する巨大な草食恐竜で、ジュラ紀後期に生息していました。この恐竜は、陸上生活と水中生活の両方に適応した体型を持っており、生息地は草原から沿岸、沼沢地にまで及んでいたと考えられています。

イグアノドンとアパトサウルス

イグアノドンは、白亜紀前期のヨーロッパに広く生息していた草食恐竜で、全長9メートル、推定体重5トンに達します。福井県勝山市の杉山川からも、この種の歯の化石が発見されています。一方、アパトサウルスは以前はブロントサウルスと呼ばれていましたが、分類学的にはアパトサウルスという名前が正しいとされています。この恐竜は全長21メートル、推定体重は30トンであり、群れをなして生活していたことが足跡の発見から明らかになっています。

アスレチック広場での楽しみ

恐竜公園には、恐竜やカブトガニのモチーフが付いた遊具が設置されたアスレチック広場もあります。この広場では、子どもたちは遊びながら自然や歴史について学ぶことができ、親子連れで楽しめるスポットとなっています。恐竜時代を体感できるこの公園は、学びと遊びが一体となった貴重な体験を提供します。

世界で唯一のカブトガニ博物館

笠岡市立カブトガニ博物館は、国指定天然記念物であるカブトガニの繁殖地としても知られる笠岡市の神島水道に面しています。この博物館は、カブトガニの繁殖と展示、さらにはその保護を目的として設立されました。1990年3月に開館し、現在も笠岡市が運営しています。

博物館設立の背景

岡山県南西部の瀬戸内海に面した笠岡市は、古くからカブトガニの生息地として知られていました。しかし、1966年から1989年にかけて行われた笠岡湾の大規模な干拓事業により、生息地が減少し、カブトガニの絶滅が危惧されました。このような背景から、カブトガニの繁殖や展示を目的とした博物館が設立されたのです。

自然保護活動と幼生の放流

博物館では、国指定天然記念物であるカブトガニ繁殖地への幼生の放流を行っています。この活動は、カブトガニの保護と繁殖を支援する重要な取り組みであり、地域の自然環境保全に大きく寄与しています。

展示物と学びの場

館内には、カブトガニに関連するさまざまな展示が行われており、訪れる人々はこれらを通じてカブトガニの生態について深く学ぶことができます。特に目を引くのが、「吠えるバリオニクス実物大模型」や「カブトガニの這い跡化石」、さらには「オウムガイの生体展示」などです。さらに、クイズ形式で楽しめるシアターもあり、家族での訪問にも適した内容となっています。

カブトガニの観察と展示

笠岡市立カブトガニ博物館の魅力の一つは、2億年前からその姿を変えず「生きた化石」と呼ばれるカブトガニを間近で観察できることです。博物館内には、カブトガニを飼育する大型の水槽が設置されており、訪れる人々は成体のカブトガニを直接見ることができます。

生きた化石の展示

博物館では、カブトガニだけでなく、シーラカンスやオウムガイなど、他の「生きた化石」と呼ばれる生物も展示しています。これらの展示を通じて、来館者は古代の生物の神秘と進化の歴史について学ぶことができます。

Information

名称
恐竜公園
(きょうりゅう こうえん)

倉敷

岡山県