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吉備寺

(きびじ)

吉備寺は、岡山県倉敷市真備町に位置する真言宗御室派の寺院で、山号は鏡林山といいます。本尊には薬師如来が祀られており、この像は行基によって作られたと伝えられていますが、秘仏として大切にされています。

寺院の歴史と由来

吉備寺が建つこの地には、飛鳥時代に「箭田廃寺(やたはいじ)」が存在していました。この廃寺からは、鬼瓦や礎石が出土しており、吉備寺はその跡地に建てられています。出土した礎石は現在、庭石として活用されています。

吉備寺は、奈良時代の大臣であった吉備真備を輩出した古代豪族・下道氏の一族が建立した氏寺です。寺院の南西には、吉備真備の祖父の墓と伝えられる場所があり、「吉備様」と呼ばれています。このため、江戸時代初期までは「真蔵寺」と称されていましたが、元禄年間(1688年 - 1704年)の初めに、当時の岡田藩主であった伊東長貞によって「吉備寺」に改められました。現在の本堂などの建物は江戸時代に建造されたものです。

吉備寺の特徴と活動

「へちま封じ」の祈祷

吉備寺では、「へちま封じ」と呼ばれる脳病に効験があるとされる特別な祈祷が行われています。この祈祷は古くから行われており、信仰を集めています。

入学・就職の祈願

奈良時代の著名な文化人であった吉備真備にあやかり、毎年、受験シーズンには多くの人々が入学や就職の祈願をするために吉備寺を訪れます。吉備寺はこの地域の学問や成功を祈る場としても親しまれています。

吉備寺周辺の施設

まきび公園とまきび記念館

吉備寺の周辺には、吉備真備が遣唐使として派遣されたことにちなみ、「まきび公園」や「まきび記念館」といった中国風の施設が設けられています。これらの施設は、吉備真備の偉業を称え、その歴史を後世に伝えるために整備されています。

吉備寺の文化財

重要文化財の紹介

吉備寺は、貴重な文化財を多く所蔵しており、その中には国指定の重要文化財も含まれています。

蓮華文鬼瓦・四葉蓮華文鐙瓦・花枝文宇瓦

吉備寺から出土したこれらの瓦は、奈良時代に製作されたもので、現在は岡山県立博物館に寄託されています。これらの瓦には、美しい蓮華文や花枝文が刻まれており、当時の高度な技術と芸術性を物語っています。

吉備寺の重要性と未来

地域に根ざした寺院

吉備寺は、奈良時代から続く歴史を持ち、地域の文化と信仰の中心としての役割を果たしてきました。現在でも、脳病に効験がある「へちま封じ」や、入学・就職の祈願などで多くの人々に親しまれています。

未来への継承

吉備寺が所蔵する文化財や歴史的な建造物は、今後も大切に保存され、後世に伝えていくべき貴重な遺産です。地域社会と連携しながら、その価値を高め、未来の世代に引き継いでいくことが求められています。

Information

名称
吉備寺
(きびじ)

倉敷

岡山県